逢田梨香子 LIVE 2022 ~The night before Nostalgic~
2022年5月1日の話です。
幾分経ってしまいましたが、この日に中野サンプラザで行われました逢田梨香子さんのライブのお話。
逢田梨香子 LIVE 2022
『 The night before Nostalgic 』
レポと呼べる程の記事にはならないでしょうし、開催からそれなりに開いているので鮮度面でも弱い更新ですが、このThe night before Nostalgicに込められたものを思い返せば、月日を重ねて振り返ることもまた意味や趣もあることかも知れませんね。
なので、あえての今の振り返り。
先にも言いました通り、レポでも考察めいたものでもなければ個人の勝手な戯言なので、逢田さんの真意に迫れるものでもなく、単に一ファンの“あの日の感想文”程度な感じで捉えて頂けると幸いです。
【目次】
■ 一年越しの単独公演
声優ソロアーティスト逢田梨香子さんの単独公演としましては、前年3月の1st LIVE TOURの完走を果たした大阪公演千秋楽以来
そこからこの5月1日に至るまで、バースデーイベントや出演作品のイベント等はあれど、The night before Nostalgicは1年2ヶ月ぶりとなるソロアーティストとしての単独公演。
この開いた期間から感じますのは、Aqoursが活動の多くを占め、また当然ながら声優が軸である彼女なので、仕事の比率としてのインターバルもありましょうが
それのみならずどのアーティストにも言えることではあれ、コロナ禍との向き合い方こそは形成されつつはあるものの、未だに尾を引く情勢が阻む側面あってのインターバルともなったのかな?と。
また、一つの憶測に過ぎない話もさせて頂きますと、2021年の前期まではAqoursとしての活動も混迷の中で、秋頃から徐々に歩みを取り戻せはしましたが、中止なり延期となってしまった当初のドームツアーであったりSSAでの公演、更にはつま恋での野外公演と、突き付けられた非情なまでの現実全てを背負ったAqoursキャスト始め関係者皆様の痛みははかり知れません。
逢田さんらが痛みの最中に居た時、つま恋中止決定直後の浦ラジで流した涙と、そうした痛みを耐え続けた先で迎えられた光明…DREAMY CONCERTでの感極まる姿は強く脳裏に残るもので、あのAqoursとして生きる覚悟であったり、紡がれた言葉の節々から感じられたAqoursへの愛は、痛みが大きかった程に忘れられないものとなりました。
そしてその姿を目の当たりにして思いますのは、逢田さん自身は再び動き出そうと藻掻くAqoursに、全身全霊を注ぐ本気と覚悟の引き替えとして、ご自身の活動よりAqoursを優先した結果がこのインターバルに繋がったのではないかな?と思わずには居られません。
再会の喜びを噛み締め、重ねた悔しさを晴らしたDREAMY CONCERT、そして過去の事となりかけていた楽しさ一辺倒の時間を取り戻せた Aqours 6th LIVEのOCEAN STAGEとSUNNY STAGEを経て、ようやくご自身としての歩みにも立ち返る事ができ
逢田さん自身再びの歩み出しとなったのが、このThe night before Nostalgicではないかな?と、ここに関しては全て憶測の域を出ない所詮の戯言であれ、この知らせを頂戴しました時そう思わずにはいられませんでした。
ただ、アーティスト活動におけるライブの定説としましては、シングルやアルバムなどを引き下げて開催といった流れが一つ形式としてあるだけに、3月のある日突然
「今日はお知らせがあるみたい。」
と、漠然的な前置きから発表されましたこのライブは、青天の霹靂めいたものも抱かずにはいられなかったのが正直なところ。
そのようなタイミングで告知されました“一夜限り”を唱う今回のライブのタイトルは
~ The night before Nostalgic ~
郷愁めいた意味合いを纏うこのタイトルに込められた意は何なのか?そしてアルバムなどを引き下げてではなく、音楽面で我々が受け取れる何かが明示された訳でない中で開かれるライブに込められたものとは何なのか??
“前段階”と呼べるものが皆目見当つかない中、「一夜限り」「自身最大規模」…そんなワードを掲げての開催告知に良い意味合いながら「何が起こるかわからない。」
そんな全くのまっさらな心持ちで5月1日…その当日を迎えることとなりました。
わからない中でも願望的であれ叶うと信じてやみませんでしたのは、昨年2月リリースの2nd EP『フィクション』収録の4曲中3曲は未だパフォーマンスとしては未披露とあって、これらの初歌唱はここに集った誰しもが疑わないものだったのは確かかな?と。
そのEPを締める一曲『花筵』は、逢田さん自身の原体験をヒントに世界観が描かれ、抗えぬ別れを想う郷愁と、その無常を乗り越え、未来を見据える心の変容を美しい情景に重ねて描いたこの曲の存在が色濃くタイトルへの繋がりをも連想させ
花筵が一つの鍵となり、今に至るまでのこれまでの積み重ねに想い馳せる。。そうした形を描くライブになるのでは?と、足らないながらも自身の想像力でそのようにThe night before Nostalgicに込められる意を解釈して当日を待つことと致しました。…が
それも今となりましては、結果を先に言ってしまいますとそのようなミスリード的な解釈がある意味、逢田さんの術中に嵌まっていたのかも知れません。
この時点ではこのタイトルの真意には到底近付いてすらいませんでしたので…。
そしてその待ちわびた5月1日
2020年の12月、1st LIVE TOUR Curtain raise東京公演以来の中野サンプラザへ。
2020年という誰しもに大きな影と空白をもたらした一年、その最後の最後で我々が感じられた光こそ、前回この地での逢田さんのライブであって、その事実と記憶だけでも大変感慨を抱くものでありましたが
よりそうした想いを深くさせてくれましたのはエントランスでの催し、これまでのライブで召されていた衣装展示でしょう。
1st LIVE TOURより白と黒の対を成すお衣装に、逢田さんのソロ活動を紐解くにおいて大きな出来事であった2019年アニサマでのお衣装。
告知では単に“衣装展示”とだけの告知でしたので、漠然としか捉えていなかったのですが、3着どれを取っても大変意味のあるお衣装を目の前に出来て、この地での思い出をより鮮明に思い出せましたのは勿論、この日ここに至るまでの歩みを改めて胸に刻ませてくれるものとなりました。
この先はライブ本編のことへと触れていきましょう。まずは先にライブ全般のカタチとなりますセトリから…。
■【セットリスト】
- M01. フィクション
- M02. for...
- -MC-
- M03. Lotus
- M04. 君がくれた光
- M05. 退屈が大好き
- -バンドセッション-
- M06. 花筵
- -MC-
- M07. Adolescence
- -MC-
- M08. ORDINARY LOVE
- M09. FUTURE LINE
- M10. Dream hopper
- ~ アンコール ~
- -MC-
- EN01. ブルーアワー
- -MC-
- EN02. ステラノヒカリ
本編とアンコール含め全12曲のステージ。それを受け取る前は、このひと時に込められるものが想像だにしないものではありましたが
いざその時間を過ごしてみて誰しもが強く感じ取ったことでしょう、この時間このセトリに込められた逢田さんからのメッセージ。
私に全てが全て込められた意味を意図通りに紐解く力量があるとは言い難いですが、ステージ上から伝わりましたパフォーマンスであったりメッセージであったり…。それらを幾つかフィーチャーしつつ、ここからは公演中逢田さんから頂戴したものを振り返っていけたらと思います。
■ エンターテイナー
今回も1st LIVE TOURに引き続き、逢田さんの信頼おけるバンドチームとの生の音で彩られるステージ。彼らの奏でる幕開けへ誘うセッションは、段々と馴染みがあり待ち望んでいた旋律へと変わります。
ご自身のラジオで1曲目予想を問うなどセトリやライブの肝などは完全にベールの中でしたが、その始まりはここに集う多くの方々が望み、そして信じていたことでしょう
『フィクション』でのスタート。
昨年春前にリリースした2nd EPの表題曲かつそのパフォーマンスは未披露、そして何より逢田さんご自身の作詞で、真実虚構入り交じるエンターテイメントのステージに魅せられ、そして溺れ行く主人公の世界観を描いてみせたこの曲ほど、ここにいる皆が待ち望んだエンタメの始まりを飾るに相応しいものはありません。
特異かつ独自の魅力を放つこの曲を、如何様に魅せるか楽しみが膨らむばかりでしたが、赤く染まった照明の中お出ましになった逢田さんの出で立ちは、照明にも勝るほど鮮やかな赤の映えるジャケットと、黒のシースルーに赤地が覗くスカート姿で、スタンドマイクを携え力強さ押し出してのステージ。
きらびやかな世界に溺れゆくどこか破滅的で快楽めいたものすら滲むこの曲を、その一挙手一投足から余裕すら漂わせるパフォーマンスで描く姿は圧巻の一言。
後に「一曲目はとても緊張した」と仰られた逢田さんですが、きらびやかでもあり破滅的ですらもある主人公の心情と、その世界に一気に惹き込んだパフォーマンスからは緊張のそれを微塵にも感じないどころか、余裕の中に自分を魅せる心得も覗かせているようで、“歌う”ことのみならず佇まいであったり目配せであったり、世界観に憑依が如く纏うオーラとでもいいましょうか、“惹き込む”・“魅せる” まるでそれらを熟知したような振る舞いに
さながら逢田さんは生まれもっての生粋のエンターテイナーなんだなと、改めて強く思わさせられるフィクションのパフォーマンスでした。
また、彼女が生粋のエンターテイナーであることの裏打ちと言いますか、よりそう思わせてくれるエピソードの一つとして、これもライブ前にラジオで仰っていたこととなりますが、例え初見や試しに訪れたような観客相手であっても「ライブに来てしまえばこっちのもの」と、自信とも取れる言葉を口にしていた彼女。今回のステージを目の当たりにした時、その言葉に何ら偽りない衝撃を幕開けと同時に思い知らされたような感覚にも陥りました。
このフィクションを受け取った瞬間に余計な邪推等々は全て忘れ去り、ただただステージから伝わるもの全てをそのままに受けとるしかないと覚悟を決めた次第です。
幕開けからフィクションの世界観=このライブにおける逢田梨香子の世界観へ染め上げてみせ、その流れのまま続く2曲目は『for...』
フィクションから地続きに赤く黒い色のイメージを、for...が持つ疾走感が更に加速させていく心地よさに、底知れぬこの曲が持つ魅力をも感じる構成
1st LIVEではステラノヒカリから続けて歌われたfor...。その時、曲の切り替わりの一瞬で見せたの表情変化が、とても心惹き込まれる魅せ方をした逢田さんが印象深い限りでしたが
今回のフィクションからfor...への繋がりは熱量を引き継ぐ様も実に秀逸で、セトリのどこにこの曲を据えるかで、幾重にも色々な表情を見せられるポテンシャルを秘めている、そんなfor...の魅力を更に知れたように感じました。
この2曲を歌いきってのご挨拶のMC
心を掴み、惹き込んで離さないあれだけの熱量あるパフォーマンスのあとに、日頃ラジオなど通じて馴染みある、よく知った自然体な振る舞いの逢田さんは
そのギャップ(?)ともまた違いますか、改めて多面的な魅力をお持ちの人だなと、そうしたメリハリから思わさせられます。
「始まっちゃった」と気持ちを漏らすお姿も
お衣装を見せようと一回りするも“サイレントくるくる”になってしまい違和感を覚えているお姿も
どの言葉、どの行動も我々がよく知る逢田さんらしさの滲む言動にどこか安心感と、憧れでありつつ身近な存在である暖かみを感じさせてくれる彼女のMC。
その極めつけは、最初のMCを締め括りますに、LIVEの最低限な注意事項を促すのも演者として押さえるべきMCでのポイントなのでしょうが、それに当たって彼女は…
「今回の LIVEは私もそんなうるさいこといわないので、皆さんも多分分かってると思うから何をしたらいけないか、何をしたら摘まみ出されるのか、みんな分かってると思うから、私も い・わ・な・い。」
…と、彼女らしい言い回しで笑い交えつつも
まず歩み寄る、信頼を寄せる。形式的な常套句で注意を促すでなく、“日頃のみなさんを信じていますよ”と言わんばかりの信頼の投げ掛けには、こちらも誠意で応えたいと思わずにはいられません。
そうした双方の信頼関係を感じさせてくれる約束をもって、ライブは更に進み行きます。
フィクションそしてfor...と、ここまでは誰もが願うべくしての王道的な並びでしたが、The night before Nostalgicの真意であり真骨頂は、ここから先の怒濤の展開の先にありました…。
■ その魅力、 “目眩く”
そんな最初のMC明け、「次の曲、聴いてください」とあえてのタイトルを伏せた中で流れ出した前奏がその合図のようといいますか、過去のライブでは終盤の鍵となるような披露が多かった『Lotus』の前奏
逢田さんの初作詞曲でもあるLotusは、蓮の花のその様に、逢田さんご自身の人生観を重ねているとも取れる意味深い一曲
まさか序盤に据えられてるとは露程も思わず驚きを持って受けとりますと同時に、2020年のオンラインBDイベントしかり、1st LIVE TOURしかり、ここぞの場面で歌われてきた曲だからこそ、今あえてここでの歌唱に込められた意味などを考えてしまいますと、それはセトリの捻り的な意味合いのみならず
この詞を手掛けた時よりも月日を重ね、逢田さんご自身はこの曲に落とし込んだ想いが根底であることは変わらずとも、今はここに綴った気持ちより前進なり成長出来ているからこそあえて序盤に据えたのでは?と、勝手な思い込みの域を出ないエゴではあれ、私はそのように捉えたいと思いたくなりました。
また一つ余談ではありますが、青く照らす照明の中で映える対照的な赤いお衣装を召した逢田さんのお姿は、水面に浮かぶ蓮の花のようでもあり、その歌われている蓮こそが逢田さんご自身のことであると示しているかのような演出の妙に映りました。
Lotusに続きますは、ソロアーティストの道を歩みだした最初の一歩目、Principal収録の初期曲ながら、この日が初めてライブでの歌唱となった『君がくれた光』
心地よいキーボードを始めとしたバンドサウンドに乗せられて歌われるメロディー。それは先のLotusに滲むストイックな覚悟から一転し、よりこの“君がくれた光”が持つ清々しさが染み渡ったように感じます。
また、この曲を歌われるに当たって印象として抱きましたのは、常に客席へと強く向けられた視線と、その佳境に我々へと向け差し伸べられた手。
この曲が今になり初披露された喜びを単に受け止める以上に、そのステージ上から逢田さんが伝え届けようとして下さっているものがあったように思えたと言いますか
この曲がこのあと明かされる今回のライブ、The night before Nostalgicの真意にリンクすることを物語っていたことを、このかけがえのない時間を進み行くなかで後に気付くことととなりました。
Lotus、君がくれた光と来て、次に続きましたのは、不思議な魅力を放つキュートなナンバー、2nd EP収録曲の一つ『退屈が大好き』
タイトルそのままな、どこか気だるさを醸し出しつつも悪戯な仕草や所作に、頭のフィクションで感じたものとはまた違う切り口でのエンターテイナーたる振る舞いの彼女に心掴まれます。
そして、このセクションでステージより伝わる印象は3曲どれも良い意味で脈略が読めない、まるでランダム再生かってくらいのセトリ。
しかしどれを取っても逢田さんの魅力を余すことなく感じさせてくれるばかりで、“目眩く”…そんな言葉が当てはまる逢田さんの魅力溢れるセクションだったなと。
退屈が大好きのアウトロから衣装替えに捌けた逢田さん。ライブの世界観を紡ぐバンドセッションを挟みライブは中盤へ。
そしてその中盤からの流れにこそ、このライブの意味が込められたものとなっていたように感じました。
■ Adolescence
バンドチームの演奏を挟み一転するThe night before Nostalgicの世界観。衣装替えを済ませかすかな青の滲むシックな出で立ちのお衣装でお戻りになられた逢田さんが、明確にライブの中盤、折り返しとなるここで歌われました曲が『花筵』
繰り返しの話となってしまいますが、抗えぬ別れを思う郷愁とご自身の原体験をヒントに書かれたこの曲が一つライブの肝となると思っていただけに…いや、確かに明確な折り返しとなる衣装替え後のタイミングで披露されましたことは、ライブの中において大切な役割を持っての披露とは感じられましたが、演出のすべてはこの曲に帰結していくのでは?と推察していた中で、ライブとしてはまだまだ先がある位置での花筵の歌唱。
このタイミングに据えられていたことに内心驚きを抱きつつも、今はその歌唱に込める想いをただ受け止めるのみ。
逢田さんがこの曲の歌詞を一節一節説くように刻む手から伝わるのは、込めたメッセージを大切に届けたい意思の現れでもあるようで
また、遠い日に馳せる眼差しと未来に向けられた眼差し、同じ眼差しを持っての表現にしてもそれらはまるで違って映りまして、逢田さんが届けてくれる表現は瞳からも伝わってくる…いや届けてくれるものが大きく、花筵ではそれをより強く感じ、過去と未来の気持ちの切り替わり、そうした心情描写を映す瞳から伝わってくるものに、ただ吸い込まれるばかりでした。
花筵の歌唱を経て中盤のMC、いよいよライブの核心へと迫ります。この時花筵への思い入れを語る言葉の中で1つ不意に頭に残った物がありましたが、これはまた後で拾えればなと…。
中盤でのMCにおいて何より
驚きと喜びの渦を巻き起こしましたのは…
「私から皆さんにサプライズ…! なんとなんと、なんとなんと、この日の為に新曲を持ってきました!!」
なんとまさか、まだその存在すらこの日まで完全に伏せられていた、まだどこにも触れていない全くの新曲を届けてくれた大サプライズという逢田さんからの素敵な贈り物。
ティザーや曲名はおろか存在すら知らされてない、そんな曲を真っ先に私達に届けてくれた喜びは計り知れません。
それでは皆さん聴いてください Adolescence
そう告げ奏でられるAdolescenceと銘打たれたその曲は、初見でありながらもメロディも歌詞も何もかもが自然に染み込んで来るように感じられ、自身の胸を吹き抜けていく清涼感と疾走感は、まるで初めて受けとるとは思えないまでに聴き心地の良いものでした。
そしてそのような想いを抱いたのは私だけではないようで、それは私は勿論、誰しもがAdolescence…思春期の記憶が大なり小なり胸にあったからなのかな?と。
後々にアーカイブで歌詞を紐解くに、改めて明確に気付きましたのは、そこに綴られたのは今を駆ける青春の讃歌ではなく、在りし日の青春に想い馳せる気持ち。
「この日の為に作った」と仰っていたAdolescenceという曲は、郷愁を掲げたこのライブに相応しい視点での素敵な贈り物でした。
そのAdolescenceを経て、この曲に至った経緯と共に、逢田さんが語りましたことは青春という括りに対しての想い…
「みんなもう過ぎてると思うけどw」
なんて冗談めかしてから語りはじめはしますものの、彼女なりの青春の本質なりが見えてくる言葉が紡がれたひと時でした。
青春と言うものは、限りあるものってイメージが強いという固定観念を前置きにしつつ
「個人的に(青春に)限りなんてなくて、今こうしてみんなと過ごしている時間も、遠い先10年20年後とかに思い返したら、あの頃青春していたと思う 」
「今日この日が将来ずっと先で思い返した時、みんなの中で素敵なものになっていたら良いなと思って(Adolescenceは)作って頂いた楽曲 」
彼女なりの青春の形、青春の捉え方を我々に示してくれて、今を噛み締めることが後々にその今を尊いと感じさせてくれる時間があるよと説いてくれるとともに
そうしたまさに“今”この瞬間を感じるに、これしかないと言えようAdolescenceに続けて歌われました曲は
「新しい曲に対して個人的にちょっと懐かしい 」
との前置きだけで、その正解を思い浮かべた人も多いでしょう。そして逢田さんは続けます
「この曲と一緒にみんなも環境が変わったり心境が変わったりしていると思う 」
ここに集う多くの方々が、かつてその曲が今受け取ったAdolescenceのように“今”の真ん中にあって、そして逢田さんと共に同じ歩幅で歩んだ道の先で、共に“懐かしい”と感じられている…。そんな歩んできた道程を思わてくれる、ソロアーティスト一歩目を踏み出した大切な一曲『ORDINARY LOVE』
この対比で聴かせてくれるからこそ、感じ入るものはこれ以上にありません。
この時点でも、これから何年経とうとも、逢田さん個人を応援するに当たっては私は後追いの身なので「ORDINARY LOVEが“今”だった」頃、同じ道程に私は居ませんでしたが
だとしても、それなりに逢田さんを通じての思い出も増えてきて、そしてこの日この場所でAdolescenceを「今の出来事」として受け止められましたことと、それからそのAdolescence越しのORDINARY LOVEを受けとめられましたことは
あの日からここまでの道程を感じさせてくれるその演出と言いますか、逢田さんの歩みを感じられた並びは、逢田さんと共に進みゆくに、忘れない大切なひと時として胸にしまいたく思います。
ライブ序盤から中盤まで、エンターテイナーの顔で存分に楽しませてくれていたかと思えば、一転そうした着飾るエンタメとはまるで正反対な、逢田さんの真心を感じさせてくれたAdolescenceとORDINARY LOVEを経て、再びギアを上げてのラストスパートへ…!
佳境への勢いを加速していくに歌われました曲は『FUTURE LINE』
この曲のイントロで、いつも逢田さんは我々一人一人の想いを尊重してくれるかのように「思い思いの好きな色を振ってほしい」と伝えてくれます。このThe night before Nostalgicで披露されましたFUTURE LINEのイントロでも
「みんな、手に持っているサイリウムを好きな色に…各々のカラーにして頂いて、思いっきり楽しんで行きましょう!」
と、熱い気持ちを強く示してくれました。
そして今回、いつもの逢田さんの想いの更に先を感じたように思えたと言いますか、逢田さんが尊重して下さるのは、色に込めた我々一人一人の想いのみならず、先程のMCや前2曲を踏まえて感じましたのは
このFUTURE LINE=未来線を歌うこの曲で、私たちの気持ちを尊重してくれるということは、ファンの想いを大事にしたいって気持ちを更に越えて、一人一人の将来や夢を後押ししたいっていう、彼女から我々に向けた願いも乗っかっているような気がしてなりませんでした。
また、間奏明けで叫びましたのは開催地でもでも会場名でもなく「“みんな”いくよー!」と高らかに声にしたお姿に、一貫してこのライブのメッセージが滲んでたなと…。
FUTURE LINEで一気に上げたボルテージを、更に跳ねさせるような『Dream hopper』へと繋がり、今限りであれど永遠でもあるような楽しさに溢れた時間が最高潮を迎えます。
今が楽しいと心から思える、そんな心弾む気持ちを全肯定してくれるかのような高揚感いっぱいのDream hopper。
そんな楽しさの中にもFUTURE LINEに引き続き、込められた歌詞が今日を懐かしいと思える日まで進もうとする、そんな私たちのこれからを応援してくれます。
喜びも悲しみも彩ってく
私の未来を鮮やかに 沢山の出会いが
そっと背中を押してくれる
大丈夫だよって笑う 君がいてくれる
どんな時でも 俯かないで前を向くよ
強くその手を 握り返したら
連れて行くから 煌めいた世界
まだ知らない景色が待ってる
■ The night before Nostalgic
ライブ本編が終わりアンコールへ。一夜限りと唱われた、ここに集う皆にとってかけがえのないその時間が、「今」から「思い出」へと変わってしまうまであとわずか…。
だとしても、アンコール明けでの逢田さんのMC、「The night before Nostalgic」に込められた真の意味に触れられましたことで、この一瞬一瞬が今でなくなってしまうことも何ら惜しいものではないと気づかせてくれます。
アンコール明けのMCで語られましたのは、過去でもなく今でもなく、少し先の未来を漠然と…でも確かに訪れよう形で捉えた話。
一緒に今を重ねていくかけがえなさを素敵に思う気持ちを大事に思いつつも、逢田さんは続けました。
「でも“絶対”に、私しかりみんなしかりだけど、大きく環境が変わるタイミングがあると思うんですよ。みんなも家庭を持ったりとか、あとは転勤だったりとか、あとは学校卒業して社会人になる形とか…」
「私もそれはみんなの幸せがあるからね、応援する立場でいたいし…」
20代の締め括りを迎えつつも、30代へとなることに抵抗は抱いてないように感じられる振る舞いの逢田さんでしたが、人生を大きく変えた時期を過ごした20代を締め括るに、多かれ少なかれ思うことはあってか、誰しもがこの先変わりゆくことへの言及をされたことがとても印象的でした。
また、花筵の後の下りで不意に頭に残った言葉の1つに「(桜は)毎年 “多分” 咲くと思う」と話されていた言葉があり、そこから思いましたのは
四季の移ろいは、日本で過ごす以上絶対無くならないと思われる事なのに、「多分」と仰っていたことを思うに、それは短絡的に「逢田さんが変なこと言ってる 笑」とかでは勿論なくて、彼女において“絶対”という基準が相当高いのだろうと感じた先で、その彼女から発せられた「絶対」と前置きした言葉はただならない説得力を感じてしまった次第。
ご自身しかり我々しかり、置かれる立場が移ろいでいくことは抗えないこと。だとしても…だからこそ、The night before Nostalgicはこれからの我々にも、逢田さんにも寄り添ってくれる存在だと彼女は説きます。
「今日この日がこうずーっと10年後20年後とか経ったときに、あの頃あの曲よく聴いてたな、なんか逢田梨香子のLIVEよく行ってたな、当時なんかわかんないけど楽しかったなとか、ね…」
「曲聴くだけでブワーっと昔の懐かしい感覚が甦ってきたりとか、なんかすっごいその感覚が好きで、なんかそんな一日になったらいいなって、今日思いながらLIVEをしていたんですけど…」
「10年後20年後、どんなに環境が変わっても“絶対”忘れないと思うんだけど、“絶対”同じ気持ちでみんなも同じ気持ちで居てくれますか?」
そう、The night before Nostalgicとは今日から見た過去…ではなく、とある未来にふと思い出す今日。
そして四季の移ろいをも“多分”と言った彼女が最後に重ねた絶対に、とてつもないほどの想いの強さが込められたように感じました。
そうした至極真面目な少し先の未来に想いを馳せつつも、感傷的にもなりすぎたか「引退ライブみたいになっちゃってるけど 笑」なんて茶化しつつ
でもやっぱり真面目に、もう暫くはやりたいことも多々あるし「まだまだ!まだまだ頑張りたいです。」とも宣言してくれた逢田さん。
タイトルに込めた意を明かし、逢田さんの見つめる眼差しの先は、過去でなく更なる未来にあると感じさせてくれましてからの
アンコール一曲目は『ブルーアワー』
■ 心映す鏡
これから進みゆく将来、そしてその日に振り返る今日への想いを伝え届けてからの『ブルーアワー』
Lotus同様か、それ以上の純真な逢田さんの気持ちが綴られた、この曲を締め括るフレーズは…
「新しい明日を生きるよ」
The night before Nostalgicに込めた理由を受け取ったあとでのブルーアワー。そしてこのフレーズは、よりこの歌に滲むものが胸に染みました。
偽らざる気持ちが込められたブルーアワーを経て、その歌詞同様により踏み込んだ偽らざる気持ちを、逢田さんは言葉にしてくれました。
それは二つの“みんな”という言葉を用いての「逢田梨香子」という人物について…。
記事の序盤でも触れました通り彼女は生粋のエンターテイナー。であると同時に、その根は愚直なまでの真面目で思慮深い人。相反するようで、それが多面的な魅力を持つ逢田梨香子さんという存在なのは、こんな超長文を飽きずに読み進めてきたあなたなら重々ご承知のことでしょう。ご自身を人見知りだとは言いつつも、常に人を楽しませたいってマインドの持ち主。
故に本質の真面目なお人柄まで知る由もない層と、深層的な域で彼女の魅力に心掴まれた我々では、「逢田梨香子」という人物像を感じるに拭えない隔たりがあるわけで、愉快に振る舞う側面しか知らない層が、好き勝手な言葉の矛先を無責任に彼女へと向けることも散見されます。そうした声に不特定多数を指す意味であろう“みんな”を用いて
「みんなが求めてる逢田梨香子がそうなら、しょうがない。ってグッと飲み込んで、うん…ってなることもたまに、あるんですよ正直 」
と心境を吐露する逢田さん。正直この一言には思う節と言いますか、我々が嫌悪するのみでなく、ご自身の口から語られましたことに胸が痛くなる思いでもありましたが
それで留まるでなく、逢田さんはもう1つの「みんな」を用いて言葉を続けました。
「でもそんな時にいっつも、“みんな”の声が凄く嬉しくて、なんか私が思っている以上に、“ここに来てくれているみんな”は、私のことちゃんと理解してくれてるっていったら甘えかもしれないけど、わかってくれてるんだなってすっごくね、嬉しいなって思うことがあるんですよ。」
「みんなの声にどれだけ救われたかわからないなーって思うことが本当に日々あって、今日がそのね、ありがとうの気持ちをね、みんなに直接改めて伝えたいなって思いながらライブをやってました。本当にありがとう。」
不特定多数を指すみんなのあとに、ここに集うみんなを用いて感謝を述べてくれた逢田さん。一見、1つの言葉に別の対象を含んでいて難しい言い回しのようでも、集う我々は誰としてその言葉を難解だとは思わなかったことでしょう。その指す意味合いの違いを、逢田さんが寄せてくれる信頼と同様に我々もまた当然ながら信頼を持って推していて
相互の信頼関係があるからこそ、同じ語句であれまるで違って聴こえ、それが私たちへの偽らない感謝を述べてくださっているのだなと、光栄であり誇らしくもあり、何より幸せを存分に噛み締められる、そんな逢田さんの純然たる気持ちが綴られたお言葉でした。
お手紙は勿論、ラジオの投稿やTwitterのリプなど、届けた気持ちをそうして1つのライブとして感謝の気持ちを返してくれた逢田さん。
そんな彼女の発する言葉は、心模様をそのまま言葉へと変えたような純とした言葉。人が発する言葉というものは、大抵が自分を守り取り繕うとする盾であったり、よく見せようとする武器にもなる自分を守るための武器あるもの。
しかし彼女は自身を守るでも良く見せようでもなく心のまま。まるで逢田さんの発する言葉はそこに心が映る鏡のようだとも、この日紡いでくれた言葉を受けとめ改めて、より強く、そう感じるばかりでありました。
自身を語るのは好まないとは言いつつも、ここまで赤裸々に語って下さったことこそ何より信頼の現れ
そうした信頼関係の積み重ねを、今一度噛み締め、The night before Nostalgicは大団円の時を迎えます。
「もう一巡したいね。もう一回フィクションからやりたいね 笑 」なんて、唱っていた“一夜限り”って売りを覆すような、真面目からまたも一転愉快な側面の彼女が顔を覗かせましてから
気持ち1つに、そして楽しく、最後を締め括りました曲は『ステラノヒカリ』
振りコピの一体感が楽しくもあれば心地良い、気付けばそれなりに数を重ねてきた彼女のライブイベントのなかで、定番とも言えよう位置付けとなってきたナンバーでの集大成。
数を重ねてきただけあって自身に染み付いたその振りを持って、楽しく、かけがえなく、何よりこれから先10年20年と経とうとも忘れることのない、幸せに満ち満ちた時間を結ぶこととなりました。
そのステラの佳境、大サビでの歌詞。そこに描かれる物語の脈略とは外れた解釈とはなりましょうが
「今宵は君の知らない青の色を 私が見つけて照らすから…」
このフレーズはアズライトブルーに始まり、ブルーアワーしかり、そしてこの日この場所で受け取ったAdolescence しかり
次々と青の色に重ねた情景を、歌として届けてくれるアーティスト逢田梨香子さんのお姿に、物凄くリンクしたフレーズとして強く胸に刻まれ
またこの先、共に歩んでいくなかで今度はどんな青の情景を教えてくれるのかな?なんて、これからをもより楽しみにさせてくれるような、このThe night before Nostalgicの締め括りで聴いたからこそ抱く、不思議な感覚をステラノヒカリそのラストから感じたように思いました。
かくして、逢田さんも我々もここに集ったみんなが、共通の気持ちとして持ったでありましょう「一生忘れられないような素敵な夜」になったと
そうした幸せな気持ちを胸にThe night before Nostalgicというかけがえのない時間は、“今”としては終わりの時を迎えました。
ただ、“今”としては終演となりましても、この日この場所で逢田さんから頂戴した想いやライブの思い出が残り続ける限り、The night before Nostalgicというものに終わりという概念は無いのだなとも感じています。
あの5月1日から時を刻むほどに輝きを増していく、そんな素敵なライブ、素敵な時間、何より素敵なエンターテイナー逢田梨香子さんに出逢えた喜びを胸に
この日に望んだような将来を夢見て、今日の積み重ねを過ごしていきたいです。
「また近々逢える気がします。なんとなく。」
以上これにて、このタイミングとなってしまいました私さとぴのThe night before Nostalgicへの感想文はおしまいです。
しかし先にも述べましたように、過ぎるほどに輝きを増していく…そんな時間だとも感じておりますので、またもう少し時を経てからこの日を回想し言葉とするのも意味があることかも知れないですね。
久々の、そして相変わらずの超文読解に最後までお付き合い下さった方がいらっしゃいましたらありがとうございました。
また、こんな感想文が関の山な私ではありますが、これからもどうぞ同じく逢田梨香子さんの味方として
この日に思い馳せた将来を迎えられますよう、ふつつかな逢田さん推しの端くれではございますが、この道を共に進ませて頂きますと幸いです… … !!
人生の中で、忘れられない1日になりました🪄
— 逢田梨香子 (@Rikako_Aida) 2022年5月1日
もしこれからノスタルジックな気持ちになったら、今日のことを思い出してね。
みんな本当にありがとう!!!
感想は是非#ThenightbeforeNostalgic #逢田梨香子
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逢田梨香子 LIVE 2022 「The night before Nostalgic」
— 逢田梨香子 STAFF (@RIKAKOAIDAstaff) 2022年5月1日
終了いたしました‼️
ご来場いただいた皆様
ありがとうございました🌻
3rd EP「ノスタルジー」リリースもありますので楽しみにお待ちくださいね🎵
引き続き応援よろしくお願いいたします✨✨
photo by 田中聖太郎 @seitaro_tanaka#逢田梨香子 pic.twitter.com/SvoQTCaAUL
2022.5.1 PM8:08 ~ REMAINED time ~